ごあいさつ

第79回県美展開催へ向けて 

 熊本県美術協会は、終戦直後の混乱の中1946年(昭和21年)に県内美術文化の発展と育成を目的として、20名の有志美術作家によって創設されました。そしてその年の12月、当時「藪の内」の地にあった第一高等女学校(現、熊本県立第一高等学校)講堂で第1回展を開催し、その後熊本師範、熊日ホール、大洋、鶴屋デパートホール、市民会館など会場を移しながら回を重ねて参りました。
 1976年(昭和51年)には待望の熊本県立美術館が完成して、県美展も31回展からは真新しい美術館で開催することとなり、更に2000年(平成12年)には、美術館本館に加えて分館にも会場を広げての開催となりました。2016年(平成28年)4月の熊本地震および2020年(令和2年)のコロナによる美術館閉鎖によって第71回展、第75回展は開催断念を余儀なくされましたが、熊本県美術協会は、来年80回展を迎える由緒ある美術公募団体です。
 現在、当協会は日本画、洋画、版画、彫刻、工芸、デザインの6部門で組織されており、会の規模も創立当時とは比較にならないほど大きくなりましたが、その表現意識は常に時代を反映したものであり、個々の作家がそれぞれのテーマを掲げて強い意欲を持って創作活動に励んでおります。
 昨年の第78回県美展は、県立美術館分館の改修工事の為、本館のみでの展覧会となりましたが、今回の79回展は、本館分館同時開催で作品も従来通りの大きさとなり、県美展本来の充実した展覧会が期待されるところです。美術表現者の皆さんの奮ってのご応募を心よりお待ちしております。また、美術鑑賞愛好家の皆様におかれましても是非ご高覧頂き、ご感想ご助言等頂ければ幸いです。

熊本県美術協会長 緒方 信行